作品:闇の奥へ 上・下 扶桑社ミステリー 1989 
作者:クレイグ・トーマス
内容:「BOOK」データベースより
 SIS長官ケネス・オーブリーは二年ほど前からKGB副議長カプースティンとヨーロッパ各地で秘密裡に接触を重ねていた。 カプースティンから亡命の希望がよせられ、二人はその条件や手はずを話し合っていたのだ。 接触は組織を離れた個人的なもので、カプースティンはつねに独り、オーブリーのほうも工作員のハイドを随行させただけだった。 ところが、話も煮詰まった冬のウィーンでの接触で、KGBの副議長は不意に亡命の意志を翻した。 その直後、オーブリーはソ連のスパイとしてバビントン率いるMI5に逮捕されてしまう。 
〈涙のしずく〉というコードネームを持つソ連のスパイである、というのが彼に着せられた容疑だった。 あやういところで、逮捕をまぬがれた部下のハイドは、敵味方の両組織から命をねらわれながら、オーブリー逮捕の手懸りを求め、救出にのりだした。

 オーブリー逮捕劇の真相とは? ウィーンのKGB駐在官を拉致したハイドは、その男から驚くべき人物の名前を聞き出した。 ペトルーニン。 オーブリーのために大失態を演じ、アフガニスタンに左遷されたKGBの大佐だ。今回の〈涙のしずく〉作戦はペトルーニンが考案した謀略だというのだ。 KGB上層部は彼をアフガニスタンへ追いやりながらも、その計画だけは取り上げ、いまそれを実行に移したのだ。 だが、計画の全貌は発案者のペトルーニン本人から聞き出さなければならない。 ハイドは宿敵を求めて単身、戦乱のアフガニスタ
ンへ飛んだ。 繊細な野獣に変身した工作員ハイドが、駆け、吠え、襲い、逃げ、殺し、恐怖に身を震わせ、苦痛に身をよじり、ウィーン、アフガニスタン、チェコスロヴァキアと、地獄のなかを疾走する。

メモ:
 やぱ、文庫本は手にすっぽり収まって読みやすいね。
 ジェイド・タイガーの影に続く、オーブリーとハイドの物語。 スパイを転向させ、二重スパイに仕立てる試みというのは、昔から多かった話なのか?
 ヒューミントによる虚々実々の駆け引きみたいなのが、スパイ小説の醍醐味だと思うが、この作者の作品は、それプラス、諦めずに前に突き進む人物がとても生々しく、また生き生きと描かれているのでどんどん引き込まれる。
 10作目となるこの作品は、すこぶる出来がいいと思うね。


 
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