作品:悪魔が目をとじるまで 上・下 新潮文庫 1991
作者:デイヴィット・リンジー
内容:「BOOK」データベースより
 父親譲りの刑事魂を持つパーマは、殺人課には珍しい女性刑事。 悲惨な死体を見慣れている彼女も、今度ばかりは息を呑んだ。念入りな化粧、縛られた手足、全身に拡がる噛み痕、そして何とまぶたが切り取られている。 同様の事件が続き、この種の犯罪の専門家、FBI分析官のグラントと協力して、パーマはヒューストンの上流階級に秘かにはびこる病巣に、足を踏み入れることになった。

 ブルザールは裕福な女性ばかりを相手に成功している精神科医だ。 患者は皆、幼い時に性的虐待を受け、その心の傷のために倒錯した性の世界に溺れ、苦しい二重生活を強いられている。 ある種の先入観から犯人を特定しようとする殺人課の刑事たち、パーマに理解を示しながらもデータ分析の結果から犯人を捜すグラント、パーマは一人、犯人の気持に入りこみ、意外な真犯人を見つけ出す―。 

メモ:
 
テキサス州ヒューストン警察シリーズだが、先日の作品とは異なる主人公。 こちらの方がよりサイコ・スリラーの色合が強い作品となっていて、猟奇的な連続殺人事件が起き、女性刑事が犯人を追う物語。
 レズビアン、バイセクシャル、SM、近親相姦、幼児期性的虐待など何でも出てくるセックスに関する描写が多く、上・下巻あるものの、中身的には一冊で十分足りるようなもの。
 とはいえ、子供の頃に受けた性的な虐待が、どれほど深い傷を残すか計り知れなく、それも女子だけでなく男子も同様の虐待が行われてるケースが多いこともにも驚かされる。
 作品の中の精神科医に語らせた、小さい頃に父親から性的虐待をされた娘のほとんどは、レズビアン、バイセクシャルになるという分析は本当なんだろうか? それ以前の問題として、こういった作品読むときにいつも思うのだが、自分の子供に親が性的な興味を抱くもんなんだろうか?と。 理解を超えた世界。
 余談だが、下巻の252頁に「朝まだきのの空がグレイから真珠色に明るんでゆく~」ちうのがあって、「朝まだき」という表現をこの歳にして初めて知った。
 「夜の明けきらないころ・早朝」という意味だそう。 朝がまだ来ないから、「朝まだき」なんだね。 へ~な。


 
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